こんにちは、行政書士ライターのあまぎです。
2024年9月13日、政府は「高齢社会対策大綱」を閣議決定しました。高齢社会対策大綱とは、日本の高齢化社会が抱える問題を解決するために政府が策定した「将来の計画書」のようなものです。
今回の改訂内容で最も注目されたのは、従来は75歳以上であれば原則1割負担だった後期高齢者の窓口負担について、3割負担の対象範囲を拡大することを検討している点です。
本記事では、この新たな決定内容と、今後に備えて現在できる対策方法について解説します。
医療費負担は原則1割負担
現在、日本では75歳以上の高齢者の医療費負担は、所得に応じて異なります。
一般的な所得の高齢者は1割負担であり、現役並みの所得がある高齢者は3割負担となっています。
【年齢別の負担割合】
出典 厚生労働省 医療費の自己負担
医療費負担を3割に拡大
政府は、2028年度を目途に、75歳以上でも窓口負担が3割となる対象範囲の拡大を検討すると表明しました。
年齢に関係なく、個々の能力に応じて制度を支えるために、自己負担割合を3割に引き上げる対象を広げたいという意図があるようです。
高齢者の就労支援の取り組みの拡大
今回の大綱には、ひとり暮らしの高齢者が増加することに対応し、身寄りのない高齢者への支援を強化する方針も含まれています。
2023年には65歳から69歳の高齢者の就業率が52%でしたが、2029年までにこれを57%に引き上げることを目指しています。
また、企業が定年を延長したり、66歳以上でも働き続けられる制度を導入したりする取り組みも支援する予定です。
医療費の増加に対する対策
医療費負担の増加に備えるためには、以下のような対策をすることができます。
高額療養費制度の利用
高額療養費制度は、病気やケガで医療費が高額になった場合に、自己負担額を一定の限度額まで抑えることができる制度です。
例えば、1ヶ月に100万円の医療費がかかり、窓口で30万円を支払った場合、自己負担限度額を超えた約21.3万円が払い戻されるため、最終的な自己負担額は約8.7万円になります
セルフメディケーション税制の利用
セルフメディケーション税制は、医療費控除の特例として、特定の市販薬(OTC医薬品)を購入した際に、その購入金額が所得控除の対象となる制度です。
例えば、購入額が15,000円の場合、控除対象額は15,000円から12,000円を差し引いた3,000円となり、この3,000円が控除されます。
まとめ
今回の記事では、2024年9月13日に閣議決定された「高齢社会対策大綱」の新たな決定内容について解説しました。
特に注目されるのは、75歳以上の高齢者の医療費窓口負担を3割に引き上げる対象範囲の拡大です。また、高齢者の就労支援や医療費増加への対策として、高額療養費制度やセルフメディケーション税制の活用方法についても詳しく紹介しました。
これらの施策を通じて、高齢化社会における課題解決に向けた取り組みが進められています。
出典 厚生労働省
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